タイトルによって大きく異なるユーザー層
1996年2月27日、『ポケットモンスター赤・緑』がゲームボーイ専用のロールプレイングゲームとして発売されました。それ以降、魅力的で多くの謎を秘めた不思議な生き物である「ポケットモンスター」(「ポケモン」)を集め、育てたポケモンで対戦を行うゲームを皮切りに、四半世紀という長い歴史の中でアニメ、映画、カードゲーム、漫画など様々な形でコンテンツを提供し続けています。
今回は、長く続くポケモンシリーズのモバイルタイトルである『Pokémon Go』、『Pokémon Masters EX』、モバイル版『Pokémon UNITE』の3タイトルのデータからポケモンIPの強さの秘密を探ってみました。
株式会社ゲームエイジ総研(代表取締役社長:光井誠一)は、国内唯一の「ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファーム」として様々な分析を行っています。ゲーム市場規模をまとめた定期刊行レポートとして「Monthly Game Trend Radar(マンスリー・ゲームトレンドレーダー)」の発刊、プラットフォーム別のアクティブユーザー数や、ネットワークサービスでのゲームに関する情報取得などのデータも収集しております。また弊社が運用しているマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」では約240万名のスマートデバイスのユーザーのログを自動取得しており、動向やトレンドなども観測しております。
1996年2月27日、『ポケットモンスター赤・緑』がゲームボーイ専用のロールプレイングゲームとして発売されました。それ以降、魅力的で多くの謎を秘めた不思議な生き物である「ポケットモンスター」(「ポケモン」)を集め、育てたポケモンで対戦を行うゲームを皮切りに、四半世紀という長い歴史の中でアニメ、映画、カードゲーム、漫画など様々な形でコンテンツを提供し続けています。ゲームシリーズも更に発展と進化を続け、2021年11月19日には、リメイク作品である『ポケットモンスターブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』が発売され、2022年1月28日には、『Pokémon LEGENDS アルセウス』の発売が予定されています。
今回は、長く続くポケモンシリーズのモバイルタイトルである『Pokémon Go』、『Pokémon Masters EX』、モバイル版『Pokémon UNITE』の3タイトルのデータからポケモンIPの強さの秘密を探ってみました。
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■圧倒的なユーザー数を持つ『Pokémon Go』
初めに、ジャンルの異なる3つのポケモンアプリゲームタイトルのデイリーアクティブユーザーを見てみましょう。
まず『Pokémon Go』ですが、2016年7月6日に配信が開始され、日本国内にとどまらず、海外でも社会現象といえるほどのブームを起こし大きな話題を集めました。ユーザーの位置情報を利用することが大きな特徴で、様々な場所を移動しながらポケモンを捕まえたりタマゴを孵化させたりして、数多くのポケモンをコレクションすることを目的とした「収集系ゲーム」となっています。今回集計を行った2021年9月22日から10月31日の間、デイリーアクティブユーザー数は常に220万人以上を獲得しており、ピーク時には250万人を超える日もあります。今でも非常に多くのユーザーにプレイされていることがわかります。
次に『Pokémon Masters EX』ですが、2019年8月29日に『Pokémon Masters』というタイトルで配信開始され、2020年8月28日に、『Pokémon Masters EX』と名前を改め大幅リニューアルがなされました。人工島パシオを舞台に、『ポケモンシリーズ』に登場した数多くのポケモントレーナーと相棒ポケモンと共に、冒険や対戦をする作品となっています。ポケモン主体のゲームというより、過去作品に登場したポケモントレーナーたちに焦点をあてた「キャラクター系ゲーム」です。
9月22日~10月31日のデイリーアクティブユーザー数は平均で16.9万人程度となっています。
最後に7月21日にNintendo Switchで配信が開始され、9月22日にモバイル版が配信開始された『Pokémon UNITE』ですが、こちらは5人で1つのチームを組み、それぞれのプレイヤーがポケモンを操作し、相手チームの陣地のゴールを目指しスコアを競う「対戦型ゲーム」となっています。
配信初日のアクティブユーザー数は34.2万人、現在では約11万人程度で安定していますが、Switch版のみをプレイしているユーザーの存在を考えるとプレイヤー人口はもっと多いと考えられます。【グラフ①】
■同じポケモンIPでも、同時プレイされているゲームには特徴がある
次に、それぞれの同時プレイゲームタイトルを見てみます。
『Pokémon Go』の同時プレイゲームアプリの1位は『LINE:ディズニーツムツム』で12.2%、2位『モンスターストライク』の12.0%、3位『パズル&ドラゴンズ』の7.9%が続きます。また、同じく位置情報ゲームである『ドラゴンクエストウォーク』が5位、任天堂タイトルの『どうぶつの森 ポケットキャンプ』が9位に入っています。
『Pokémon Go』はアクティブユーザー数が非常に多く、アプリ全体のプレイランキングと同様の傾向が見られました。【表①】
『Pokémon Masters EX』のクロスプレイ状況は、同時プレイ1位は『Pokémon Go』の27.3%でした。上位のアプリは人気の高いメジャータイトルが占めていますが、注目されるのは、3位の『Fate/Grand Order』と、6位の『ディズニー ツイステッドワンダーランド』です。この2タイトルは『Pokémon Masters EX』同様キャラクター系ゲームであり、同じような嗜好性を持つユーザーの傾向が窺えます。【表②】
『Pokémon UNITE』の同時プレイ1位は、『Pokémon Go』の20.3%でした。『Pokémon Masters EX』とともに、クロスプレイランキングでは『Pokémon Go』が1位となることから、この二作品はポケモンIPファンに支持されていることがわかります。
また、『Pokémon UNITE』と同じ対戦型ゲームである、『クラッシュ・ロワイヤル』や『ブロスタ』がTOP10に入っているのが特徴です。【表③】
■タイトルによって大きく異なるユーザー層
最後に、それぞれのタイトルをプレイしているユーザーの性年代と、ゲーム以外に同時に利用しているアプリについて見ていきましょう。
『Pokémon Go』ユーザーの性年代構成を見ると、最も多いのは30代男性の12.4%、それに30代女性の11.5%、40代男性の11.1%が続きます。男女共に30代を頂点として緩やかなベルカーブを描いており、10代女性が10代男性に比べ低くなっていること以外は性別による大きな違いは見られません【グラフ②】
ゲーム以外のアプリで最も同時利用されているのは「YouTube」の76.2%。次いで「Twitter」の49.2%、「Instagram」の42.4%が続きます。また、ユーザーの年齢層の幅が広いため、「Facebook」や「スマートニュース」なども利用率上位に入っています。【表④】
『Pokémon Masters EX』ユーザーの性年代構成を見ると、最も多いのは20代男性が29.6%、20代女性が25.1%と、20代で5割以上を占めています。【グラフ③】
ゲーム以外のアプリで最も同時利用されているのは「YouTube」の88.4%。それに「Twitter」の74.2%、「Instagram」の31.9%が続きます。また、「pixiv」が15.9%と利用率が高くなっている点もキャラクター系ゲームの特徴と言えるでしょう。
『Pokémon UNITE』ユーザーの性年齢構成は、最も多いのは10代男性が30.3%、それに20代男性の25.1%、30代男性の11.8%が続きます。10代20代男性で58.4%と過半数を占めており、若年層男性に人気の高いタイトルであることがわかります【グラフ④】
ゲーム以外のアプリで最も同時利用されているのは「YouTube」の92.9%。「Twitter」の70.2%、「Instagram」の47.9%。「TikTok」が21.0%で4位に入っている点は若年層アクティブユーザーが多いアプリの特徴と言えます。
ご紹介した、『Pokémon Go』、『Pokémon Masters EX』、『Pokémon UNITE』はいずれもポケモンIPのゲームですが、プレイヤーの年齢層が非常に広い『Pokémon Go』、20代に人気の『Pokémon Masters EX』、男性若年層に人気の『Pokémon UNITE』と、同じポケモンIPでもアクティブユーザーの構成が大きく異なることがわかりました。
今回取り上げたように、ポケモンIPは収集系ゲームから、キャラクター系ゲーム、対戦型ゲームなど多様なジャンルのゲームを世に送り出してきましたが、テレビゲームやアプリゲームにとどまらず、アニメや映画、コミック、カードゲーム、グッズなど、様々なサブカルチャーの水平展開も継続してきました。長い年月を経て確立されたキャラクターや世界観を、それぞれの世代の生活スタイルや嗜好にあわせ楽しめるようにIP展開していることが、25年の長きにわたり愛され続ける理由のひとつなのではないでしょうか。